天にまします我らが父よ
この醜き碑をお許し下さい。



【01】崩壊の序曲《其の2》



さっと広がる一面の碧。
木々は生い茂り、その優しい木洩れ日を私達に無償で提供してくれる。


5月――それは、爽やかな季節。
それは、全ての物を慈しみ、育む季節。
それは、あたし達に決して癒えぬ絶望をもたらした季節。




あたしは、この季節が大っ嫌い。





あたしは、今でも覚えている。
いや、決して忘れてやるなんて真似はしてやらない。

あの日、あの時、あの場所で、貴方たちはあたしの親友の真実の笑顔を奪ったのだから。




さんさんと忌まわしい太陽がその光を降り注ぎ、木々がその懐を惜しみなく生き物に貸す毎日。

あの忌まわしい事件からそろそろ1年が経とうとしている。
そして、憎しみの炎は今も尚、消えることなく、今日もあたしの胸の内で燻り続ける。

この世から、人々の記憶の奥底に封じられてからも依然と彼女を縛り付けている貴方たちがあたしは憎い。







あぁ、全知全能の神、万物の主、我らが創造主よ。
この暗雲渦巻く黒い憎しみで心を満たす愚かなあたしをお許し下さい。
そして、願わくば、今尚孤独の淵にいる彼女の心に魂の救済を。
あぁ、神よ―――